『伯爵家の秘められた侍女』は、醜いと言われてきたポーラが、閉ざされた伯爵家当主ヴィンセントのそばで少しずつ「女」として見られていく、ふわっと心が温まる作品です。
仕える相手は、目が見えなくなって部屋に閉じこもっている伯爵。ところが、この二人が一緒に過ごす時間が増えるほど、ただの主従関係では済まなくなっていくのよね。
あらすじ|ポーラが誰にも知られず伯爵の世話をすることに
貧しい家に生まれたポーラは、自分の容姿に強いコンプレックスを抱えている女性。華やかな令嬢とは正反対の人生を送ってきた彼女が、ひょんなことから名門ベルニタ伯爵家で侍女として働くことになる。
ところが、そこで任された仕事は普通の侍女とは少し違っていた。主人であるヴィンセント・ベルニタは視力を失って以来、人との接触を避け、屋敷の中に閉じこもっている。しかも、その世話をするポーラの存在は、周囲に知られてはいけないという秘密つき。
つまりポーラは、誰にも知られないままヴィンセントの身の回りを支えることになる。最初は仕事として彼のそばにいるだけだったのに、毎日顔を合わせ、声を聞き、少しずつ彼の内面を知っていくうちに、二人の間には普通の主人と侍女とは違う空気が生まれていく。
そして厄介なのが、ポーラ自身が「自分なんて」と思い込んでいること。ヴィンセントから何かを感じ取っても、簡単には自信を持てない。好きな人に近づきたいのに、自分から一歩踏み出す勇気が持てない。このもどかしさが、まあ刺さるのよ。
一方のヴィンセントも、最初からポーラを特別扱いするわけではない。自分の世界に閉じこもっていた彼にとって、毎日そばにいるポーラの存在そのものが少しずつ大きくなっていく。誰にも知られない場所だからこそ、二人だけにしか分からない距離感が育っていくのよ。
登場人物|ポーラを中心に動き出す恋
閉ざされた暗闇の中で、傷ついた二人の心が静かに体温を分け合うような、究極の救済の愛‥そんな言葉がピッタリ。『伯爵家の秘められた侍女』の中で登場する好きなキャラクター4人を紹介。
ポーラ|「醜い」と思い込んだまま恋をする侍女
ポーラは、貧しい家庭に生まれた侍女。自分の容姿に自信がなく、周囲からどう見られているのかを気にしてしまうところがあるの。でも、ポーラの魅力は外見とは別のところ‥。ヴィンセントのそばにいるようになってから、彼が何を求めているのかを考え、必要なことを黙って支えようとする。派手に自分をアピールするタイプではないからこそ、毎日の小さな気遣いがヴィンセントの心に少しずつ積み重なっていく。
そして恋愛になると、これがまた切ない。ヴィンセントに惹かれているのに、「私が好かれるはずがない」と自分で線を引いてしまう。相手が伯爵で、自分は侍女。その身分差まであるから、なおさら自分の気持ちを表に出しにくい。でも本当は、誰かに「綺麗だ」と言われることより、自分自身をちゃんと見てほしい女性なんだと思う。だからヴィンセントとの関係が深まるほど、ポーラが少しずつ自分を認めていく過程も見逃せない。
ヴィンセント|閉ざした世界からポーラによって少しずつ変わる伯爵
ベルニタ伯爵家の主人。視力を失ってから精神的にも大きな変化を抱え、屋敷に閉じこもるようになっているの。そんなヴィンセントにとって、ポーラはただの侍女ではなくなっていく。姿を見ることができないからこそ、声や気配、会話、触れ合いの中で彼女を知っていくことになる。
ここがこの作品の恋愛でかなり面白いところなのよ。普通の恋愛なら「顔が好み」「見た目が綺麗」といった入口があるけれど、ヴィンセントとポーラの場合、それだけではない。ヴィンセントがポーラに惹かれていくとき、彼が感じているのは彼女の外見ではなく、そばにいることで伝わってくる人柄や優しさなんだもの。
しかもポーラは、自分がどう見られているのかを気にしている。だからこそ、ヴィンセントが彼女自身を大切にするようになっていくほど、二人の関係がじわじわ効いてくる。
アリシャ|ポーラとヴィンセントの関係を揺らす存在
アリシャは、ポーラとヴィンセントの関係を語るうえで外せない女性。もう後半、かき乱してくれます。
物語が進むと、ポーラ自身が抱えている不安や恋心だけではなく、周囲の人間関係も二人の関係に影響を与えていく。特にアリシャの存在によって、自分の立場を意識したりする場面が増えていく。だって、ヴィンセントに伝えたのは、アリシャの容姿だったんだからね‥。
「はいはい、恋の波乱ね」と思いがちなんだけど、ポーラの場合はそれだけでは終わらない。彼女が自分をどう評価しているのか、ヴィンセントが誰をどう見ているのかという問題まで浮き上がってくるから、ポーラの心情を見るうえでも重要な存在になってくる。
イーサン|ポーラをめぐる感情を動かす男性
イーサン・クリストファーも、物語が進むにつれてポーラたちの関係に影響を与えていく人物。
ヴィンセントだけを見ていると「ポーラはこのまま彼のそばにいられるの?」という話になりそうだけれど、イーサンたちとの関係が絡んでくることで、ポーラの立場や周囲からの見られ方にも変化が出てくる。そして何より、恋愛って第三者が入った瞬間に本人たちの感情が急に見えやすくなるのよ。ヴィンセントがポーラをどう思っているのかも、周囲との関係を通して少しずつ浮かび上がってくる。ポーラと仲良しだからヴィンセントのヤキモチ焼き役としても大活躍するのよね。
また、イーサンの弟ルーカスとポーラも関係も見どころなのよね。
ヴィンセントを失明させた責任感、ポーラへの恋心‥これかまた泣かせてくるのよ!!!さらに、私、ヴァイオレットとポーラの関係も好きで、ヴィンセントに恋心を抱くヴァイオレットが、後半ではポーラの味方に!ダイナミックな性格が好きなんです。
『伯爵家の秘められた侍女』に登場するキャラクター達
- ポーラ:主人公(埃まみれの人生っていう意味で母親に名付けられた
- アリシャ:ポーラの妹(三女)
- ヴィンセント・ベル二タ:由緒正しき伯爵で幼い頃から綺麗な顔立ちとその聡明さで一目置かれていた
- 執事:
- イザベラ:ペルニタ家の女性使用人たちを管理する侍女長
- レニカ:ベルニタ家の使用人でポーラと親交が少しある侍女
- イーサン・クリストファー:ヴィンセントの親友でクリストファー家の次男
- ルーカス・クリストファー:クリストファー家の三男(のち帰らぬ人へ)
- ジェームズ・クリストファー:クリストファー家の長男
- ヴァイオレット・マーガレット:ヴィンセントとイーサンの幼馴染でヴィンセントの婚約者(のち破棄)
- 王女:ヴィンセントの婚約者
- ジョニー:アリシャの事が好きな仕事仲間
- ジョエリー:新しく入った屋敷の主人
- オードリー:新しく入った屋敷の主人の侍女長
- ロバート:ジュリーの甥・ヴァイオレットの子ども
シーズン1では、ポーラ・ヴィンセント・イーサン・ルーカス・ヴァイオレット。
シーズン2では、ポーラ・ヴィンセント・ロバート・イーサン・アリシャ・ジョニー・ジェームズ
こんな感じ!とくにアリシャやジョニー、シーズン1では描かれていない登場人物たちが、結末に向けてどんどん露になってくるのよね。
全話レビュー|『伯爵家の秘められた侍女』1話から最終話一覧
各話レビューでは、ポーラがベルニタ伯爵家で働き始めたところから、ヴィンセントとの距離が少しずつ変化していく過程、周囲の人物との関係、そして二人の恋が大きく動く場面まで順番に追っていますよ。ポーラが自分の気持ちから逃げられなくなっていく流れも含めて、各話を追うと二人の恋の変化がかなり分かりやすく見えてきます。
- シーズン1は、ポーラが「侍女としてちゃんと役に立たなければ」と考えているのに対して、ヴィンセント側では少しずつ彼女の存在そのものが大きくなっていくところに注目。
- シーズン2からは、ポーラ自身の気持ちも変化していく。最初は仕事として接していたヴィンセントを、一人の男性として意識するようになるにつれて、「私はこの人の隣にいていいの?」という葛藤が強くなっていくのよ。
公式配信まとめ|原作小説・漫画はどこで読める?
『伯爵家の秘められた侍女』の原作は、Naver WebtoonとNaver Seriesで韓国版漫画が配信されています。日本語版はLINEマンガで読むことができ、原作小説もNaver Seriesで配信されていますよ。
公式配信先はこちら。
- 日本語名:伯爵家の秘められた侍女
- 原作題名:백작가의 비밀스런 시녀님
- 原作作者:MIDNIGHT STUDIO(作画)・Baekjua(原作)・TON(脚色)
- 日本語版:LINEマンガ・eBookJapan
- 韓国語版:Naver Webtoon・Naver Series
- 原作小説:Naver Series
- 外国語版:英語、インドネシア語、中国語(簡体字)、タイ語、中国語(繁体字)、フランス語、ドイツ語、スペイン語
漫画ではポーラとヴィンセントの表情や距離感を楽しめる一方、小説では二人の内面をより細かく追えるのがポイントね。
原作小説結末は?|ポーラとヴィンセントは最後に結ばれる?
『伯爵家の秘められた侍女』の漫画は、小説がベースになっており、本篇163話+外伝42話=205話で完結しています。どうなったのか?結論から言うと、ヴィンセントとポーラは、別れや身分差を乗り越え、最後にはちゃんと「愛し合う」ハッピーエンド。
終盤に入ってくると‥アリシャが大きく絡んできます。ポーラがアリシャの容姿をヴィンセントに伝えていたことで、アリシャはヴィンセントに対し「自分がポーラ」だと告げるの。
だけど、ヴィンセントは、アンと偽っているポーラを、ポーラ本人だと確信し、アリシャへの待遇はポーラに任せることに。だか事件が起き、アリシャが偽物だとヴァイオレットとイーサンに明かされてしまう。ヴィンセントはやっとアンをポーラだと告げ、自分の中にある想いを周囲に伝えアリシャには牢へ。
ポーラは姉として家族を見捨てることができずアリシャを逃がすことに、そこでジェームズとジェームズに金で雇われたジョニーによって逃げだすことができなくなってしまうの。アリシャは自分が幸せになれない想いをぶつけポーラを見捨てるが、ヴィンセンやイーサンによってジェームズの最期はあっけなく終わる。その後、ポーラは「お金がもらえるなら何でもするよね?」とジョニーにアリシャを逃がすようにお願いする「もう妹とは会わない」という覚悟を持って‥。ああ、どこまでも優しすぎる!
ヴィンセンも逃げた二人を追うことはせずポーラに寄り添う。そこでイーサンが「俺の妹になる?」って提案。ポーラの身分が上がりヴィンセントと共に歩きだすのよね。
終盤のポーラ・ジョンー・アリシャ・ヴィンセント・イーサンの関係や、ポーラが最後にアリシャを手放す決断までが見どこよ。
まとめ|「醜いから愛されない」と思っていたポーラが、最後に手に入れるもの
ポーラは、誰かを愛してもいい。誰かに愛されてもいい。そして何より、自分自身の幸せを望んでもいい。そう思えるようになった。だから最後に残るのは、単純な「シンデレラになりました!」じゃないのよ。ずっと自分を後回しにしてきた女性が、ようやく自分の人生を自分の手に戻した。ポーラにとってヴィンセントとの恋は、その人生を取り戻す過程で出会った大切なものだったんじゃないかな。
いやもう、ポーラ。最後くらい自分を一番にしていいのよ。今まで散々頑張ったんだから、もう誰かの人生まで背負わなくていい。自分の幸せ、ちゃんと取りに行きなさい。ってね。
「私だから選ばれた」。ポーラにとってどれほど大きいのかを考えると、二人の恋がただのシンデレラストーリーではないわ!ヴィンセントはポーラによって閉じた世界から少しずつ歩き出し、ポーラはヴィンセントによって「私は愛されてもいい」と思えるようになっていく。
最初は、孤独な伯爵と一人の侍女。でも最後には、お互いの人生を変えてしまった二人。
いやもう……ポーラ、よかったね。「私なんて」と縮こまっていた女性が、最後にはちゃんと一人の女性として愛される。そこを見届けるために読む漫画だと思う。