もうね、愛美の恋がややこしい! いや、本人だって好きでこんなに悩んでいるわけじゃないんだけど、玲央が思っていた以上に優しいんですよ。映画を一緒に観て、泣いた顔まで見せて、誕生日のプレゼントに服を選んでもらって…こんなの、意識するなというほうが無理じゃないですか! しかも玲央は、愛美が忘れていそうなことまで覚えている。そのさりげなさが妙に心に残るんですよね。一方で、愛美が本当に知りたいのは蓮が自分のもとを去った理由。ラブメーターの異常という大きな謎が見えてきても、愛美の気持ちはそこにすっきり収まってくれないんです。蓮は蓮で、愛美の前から姿を消した過去を抱えながら、雪の夜にはそっと後ろを歩いているし、引き止める。ちょっと待って、離れたのはそっちなのに! とツッコミたくなるのに、その一言が切なくて困るんです。
111話|玲央の不器用な本音がこぼれた
映画を一緒に観るだけでいいの!?玲央のお願いが予想外すぎて、こっちまで拍子抜けしちゃったじゃない!
あははっ、愛美があんなに必死でお願いした結果、玲央、映画を一緒に観るだけって何なのよ! いや、もちろん本人にとっては契約がかかった大事な話だし、そんな軽い気持ちでいられる状況じゃないのも分かる。でも愛美の頭の中では、借金だの屈辱だの散々な未来が大渋滞していたわけでしょ。それなのに玲央から出された条件が映画仲間って、拍子抜けするやらホッとするやら、感情が忙しいったらありゃしない。
しかも愛美、自分にできることなら何でもすると口にしながら、内心では自分の給料を知られたら笑われるんじゃないかと心配しているのが切ないのよね。相手は何でも持っているように見える人だし、自分に何ができるのか分からない。その不安を抱えたまま、玲央の誘いに飛びつくしかない愛美がいじらしいったら。ようやく映画館に着いても、観客はほとんどいないし、玲央は何を考えているのか分からないし、ポップコーンは服に落とすし、もう落ち着いて映画を観なさいよ! と言いたくなる。でも、あの気まずい空気を必死に埋めようとする愛美の姿って、相手に嫌われたくない気持ちそのものなのよね。
ところが映画が始まれば、愛美は笑うし、驚くし、最後には涙まで流してしまう。玲央の機嫌をうかがっていたはずなのに、物語に夢中になって感情を隠せなくなるところが好き。そんな愛美の涙を玲央がハンカチで拭う姿には、思わず手が止まったわ。だって玲央は、怒っていたことも、失望していたことも、ちゃんと認めるのよ。ここで無理に優しい人を演じないのが、かえって玲央らしくて胸にくる。それでも嫌いではないと言い、これからも一緒に映画を観ようと誘うなんて、そんな言い方をされたら愛美だって、ビックリしてしまうじゃない。
玲央にとって愛美は、何もかも許せる相手になったわけではないのだと思う。それでも、もう関わりたくないと突き放すのではなく、ふたりで過ごす時間を続けようとしている。愛美も契約のために必死だったはずなのに、映画を観ている間だけは、玲央の顔色を気にする自分から少し離れられたのかもしれない。大げさな告白も甘い言葉もないのに、次も一緒に映画を観る約束がこんなに胸に残るなんて。玲央、その不器用な誘い方はずるいわ。愛美が次の映画でどんな顔をするのか、今度は玲央が彼女の隣で何を感じるのか、もうふたりを映画館に置いて帰れないじゃないのってね(笑)。
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112話|玲央は愛美の誕生日を覚えていた
映画に誘って、買い物に付き合わせて、最後は服までプレゼントって、玲央さん、それもう普通の親切で片づけていい行動なのかしら!?
きゃぁ~、玲央ってば何をそんなに自然にやっているの!? 愛美が一人で勝手に意識しているように見えるけれど、そもそも相手の服選びに付き合わせて、着替えまで手伝わせて、最後にプレゼントを渡すって、なかなかの流れじゃないのよ。しかも本人は終始いつもどおり。こっちは愛美と一緒に落ち着かないんですけど!
映画館でポップコーンを食べている二人は、なんだかんだ楽しそうで微笑ましいわけ。愛美が玲央の手からポップコーンをサッと遠ざけるところなんて、遠慮のなさが出ていて好きなのよね。もう一緒にいること自体には慣れてきたのかな、なんて思っていたら、次はデパートで買い物ですって。荷物持ちにされるのかと疑っていた愛美の気持ち、わかるわ。私だってそのつもりで行くもの。ところが、待っていたのは自分の予想と違う展開だったわけで。
玲央が元スタイリストの女性を親しい相手として紹介する姿も、愛美の立場からすると気になるところよね。彼にとっては普通の説明でも、聞かされた側はつい相手との関係を考えてしまうもの。とはいえ、愛美も玲央のことを意識しすぎて、服の感想どころじゃなくなっているのが面白いし。あれこれ聞かれても、もう疲れたとしか言えないあたり、頭の中が忙しすぎるのよ!
そして試着中のファスナー問題。玲央、もう少し自分の行動が相手に与える影響を考えてくれないかしら。本人にとっては着替えの途中で困ったから手伝ってもらっただけでも、愛美にとってはそう簡単に割り切れる状況じゃない。しかも、困っている愛美を見て笑っているような余裕まであるんだから、そりゃ愛美も赤くもなるわよ。玲央の無自覚なのか計算なのかわからない振る舞い、ほんとに厄介!
でも今回、いちばん引っかかったのは、誕生日が近いと覚えていて、愛美に似合う服を選び、さらっと贈り物にしてしまう。これ、何でもない相手にすることなのかしら。もちろんプレゼントだけで恋愛感情が確定するわけじゃないけれど、玲央が愛美をちゃんと見ているのは伝わってくるの。愛美は彼が自分について覚えていることに驚いているけれど、私だって同じ気持ちよ。あんなふうに何気なく大切にされたら、期待するなというほうが無理じゃない? 玲央、あなたのその自然すぎる優しさ、愛美の心に届いちゃっているのよ。
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113話|唯一の欠陥だった愛美が見た、崩れゆくラマンの姿
ラマン会長まであんな姿になっていて、安心する暇すら与えてくれないじゃない。
えぇラマンの会社が閉鎖って何!?10年ぶりに現れたラマン秘書から、ガラゲーを返してほしいと言われるだけでも十分に不穏なのに、続けて飛び出したのが会社の崩壊。愛美だって、そんな話をいきなり聞かされるとは思わないでしょうよ!
しかも、充電器もない古い携帯電話が起動して「MR」の文字が浮かび上がるのよ。ここでまず鳥肌。ずっと手元にあったものが、ただの古い携帯電話では済まない感じがたまらない。愛美が自分の心の数値を確かめ、街の人々にも同じようにゼロの人がいると気づいた姿は、驚きと戸惑いが一気に押し寄せてくる。自分だけがおかしいと思っていたのに、同じような人がほかにもいる。安心していいのか、それとももっと大きな問題が起きているのか、気持ちがまるで落ち着かないのよね。
そしてラマンの現状がまた深刻。かつてはトップスターを次々に送り出していた会社なのに、所属アーティストの契約解除や移籍が相次ぎ、株価まで下落している。会社の土台だった人材選定システムが機能しなくなったのなら、愛美が唯一の欠陥だったという話そのものが揺らいでくるわけ。完璧な仕組みだから自分が異常なのだと思っていたのに、実は仕組みのほうが完璧ではなかったのかもしれない。これ、愛美にとってはものすごく大きな事件じゃない?
ただ、喜んでばかりもいられないのがつらいところ。愛美の現在の心の数値は、合計値がゼロなのに、それを上回っている。この謎も残ったままだし、契約はどうなるのか、小説は読まれているのか、読者からの反応もない。自由になれる可能性が見えたところで、今度は自分の未来まで分からなくなってしまうのだから、そりゃ答えを確かめたくもなるわ。
そうして訪れたラマンは、愛美の記憶にある会社とは別物のように静まり返っている。閉店間際の店みたいな寂しさの中、案内された部屋で目にしたのは、毛布にくるまったラマン会長。えっ、会長に何があったの!?ここまで会社の崩壊と愛美自身の謎を追いかけてきたのに、最後にこんなボロボロな姿を見せられるなんて。愛美が求めていたのは、自分はもう排除されなくていいのかという答えだったはずなのに、目の前にはそれどころじゃない現実が待っている。希望が見えかけた瞬間に、また不安のど真ん中へ引き戻される感じが苦しいし、会長の姿が頭から離れない……。
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114話|ラブメーターの異常が自分だけではない?!
ずっと自分は愛されない人間だと思っていた愛美に、まさかの真実が判明で、何!
おいっ会長!!十年間も小説を書き続けた愛美を目の前にして、まさか本人の記憶までなくしているとは思わないじゃないの。愛美は言いたいことを山ほど抱えて会いに来たのに、相手から「誰?」みたいな顔をされたら、怒る以前に頭が真っ白になるわよね。しかも、あの傲慢だった会長が別人のように変わり果てているのも衝撃で、愛美の怒りのぶつけ先すら定まらない感じが苦しいのよ。
それでも愛美は、十年間ずっと小説を書き続けたこと、ガラゲーやハートの量を教えられたこと、あの頃に受けた仕打ちを必死に伝える。ここ、愛美にとっては昔話じゃないのよね。人生を左右するほど大きな出来事だったのに、会長は忘れているどころか、最後には自分の都合で関わったことまで後悔するような態度。いやいや、あなたが忘れても、愛美の十年間は消えないんですけど!?この差、腹が立つわ。
そして、ラブメーターの謎が明らかになった瞬間も、すっきりしたとは言い切れないのがまたつらい。愛美はずっと自分には愛される資格がないと思い込み、運命だから仕方ないと何度も自分を納得させてきた。ところが、実際はハートの量がゼロなのではなく、上限がなかったらしい。えっ、今まで自分を責めてきた時間は何だったのよ…。呪いが解けたこと自体は大きな変化なのに、愛美が喜べないのも無理はないわ。
だって、愛美が本当に知りたいのは、数値の仕組みだけじゃないもの。蓮はどうして自分を置いていったのか。あの優しさも、一緒に過ごした時間も、全部が同情だったのか。愛美は蓮の行動を理解するために、彼の愛情そのものを否定するしかなかったのよね。そう考えれば納得できるけれど、もし蓮の気持ちが本物だったなら、その前提が崩れてしまう。だからまた最初から悩むことになる。もう、心の中で何周目の話し合いをしているのよ……。
そんな愛美が雪の中をふらふら歩く後ろで、蓮がそっと傘を差し出しているのが切ないの。今すぐ全部説明して抱きしめてあげて、なんて簡単には言えないけれど、愛美の知らないところで見守る姿を見ると、まだ何か残っているんじゃないかと期待してしまう私。呪いより厄介なのは、信じたいのに信じられない気持ちなのね。愛美がようやく手放したはずの希望が、また胸の奥で小さく動き始めてしまったのが、たまらなく苦しいわ。
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115話|初雪の夜、帰れない愛美と、すがる蓮
うわぁ、蓮の「行かないで」はずるいってば!! 愛美だって、10年前のことを忘れたわけじゃないのよ。理由もわからず待たされて、寒い思いをして、何日も体調を崩すほど傷ついたのに、その相手が今になって目の前で弱り切っているんだから、そりゃ心だって大渋滞するでしょうに!
初雪の夜、蓮が車を引き返したところから、もう胸が落ち着かない。愛美はお酒を飲みながら、どうしてあんなことをしたのかと、ずっと抱えていた疑問をこぼしている。しかも本人はすぐそばにいるのに、正体を明かして話し合うわけでもなく、ただ後ろから見守っているのよね。蓮が何を考えているのか、今の段階ではわからないの‥。でも、愛美の言葉に反応し、10年前の姿まで思い出しているところを見ると、あの日のことが彼の中でも消えていないのは伝わってくるのよね。
そしてホテルに書類を届けに来た愛美! いやいや、仕事を理由にしているけれど、本当にそれだけなの? 自分でも下心がないと言い切れないと気づいているあたり、正直すぎて笑ってしまう。好奇心が勝って呼び鈴を押したものの、出てきた蓮はまともに仕事もできないほど具合が悪いんだよ。肩に顔をうずめて、そのまま倒れ込むなんて、普段の彼を知っている愛美ほど困惑するでしょうね。
それでも愛美は、薬が足りないんじゃないかと心配して、買いに行こうかと考えてしまう。いや、さっきまで余計なお世話だって自分に言い聞かせていたのは誰なのよ! しかも帰ろうとしたくせに、結局は戻って布団を掛け直す。腹が立つ相手でも、傷つけられた記憶が残っていても、目の前で弱っていたら放っておけない。その優しさが愛美らしいし、同時に、まだ気持ちをきれいに切り離せていないことも感じさせるのよね。でも、ここで忘れちゃいけないのは、愛美が世話を焼いたからといって、10年前のことが帳消しになるわけじゃないこと。蓮がなぜ姿を消したのか、どうして今まで何も説明しなかったのか、肝心なところはまだ謎のままなのだから。
だからこそ、服の袖をつかんで「行かないで」と頼む蓮の姿がぎゅーっとするの。今まで知りたかった言葉とは違うし、これだけで過去の答えがわかるわけでもない。それでも、いつも強そうに見えた彼が、愛美を引き止めるほど弱っている。愛美、お願いだから今夜くらいは自分の気持ちをごまかさないで…と言いたくなるけれど、傷ついた側が簡単に素直になれないのもわかるのよ‥で直後の蓮のスマホへ女性からの着信、はぁ、なんてタイミングなの!初雪の夜にようやく近づいた二人なのに、愛おしさと腹立たしさが一緒に押し寄せて、もう感情を見失ってしまいそうだわ。
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