自分の孤独を埋めるために蓮を求めたのではないと、樹里は自分自身に言い聞かせます。けれど、距離を置こうとするほど、彼の存在が心から離れなくなっていくことに。蓮からの連絡が途絶えた時間は、樹里にとって自分の本当の気持ちを知る時間にもなります。そして再び目の前に現れた蓮の姿を見た瞬間、抑えていた感情があふれ出すのでした。
36話|樹里が蓮を遠ざけるために選んだ一億ウォン
好きだからこそ離れようとする樹里と、それでも待つ蓮の気持ちが苦しすぎた。
うわぁ…樹里、そこまでして蓮を遠ざけようとするのか。胸が苦しくなった。鉄平への意地や寂しさを埋めるために蓮を利用したくない、若いころの自分と同じように、蓮まで孤独にしてしまいたくない。そう考えていたからこそ、好きにならないでほしいと泣きながら頼んだんだよね。自分が傷つくだけならまだ耐えられても、蓮の人生まで変えてしまうのが怖かったんだと思う。
それに対して蓮が、今まで樹里がずっと自分の気持ちを押し殺してきたことを分かっていたのが切なかった。嫌いだと言われれば二度と戻らない、そうまで言われたのに、樹里は最後までその一言を口にできなかった。離れたいのに嫌いにはなれない。もう答えが出てしまっているじゃない…と思ってしまった。
そして蓮がクマのぬいぐるみを抱えながら、樹里をホテルに連れて行った夜のことを譲二に話していたのも印象に残った。自分だって気持ちを抑えるのは簡単じゃなかった、それでも樹里が安心できることを選んだ。その話を聞いた譲二が、ようやく蓮の本気を感じ始めたのも分かる気がした。普段は余裕たっぷりなのに、実は必死なんだよね。
なのに樹里は、蓮の気持ちを消すためにお金を貸してほしいと考え始める。最初は一千万ウォン、それすら怖くなって、最後に送ったのが一億ウォンって…いや、待って!? 金額が急に大きすぎるって! でも、蓮の人生を壊すかもしれないと思って一度は送信をためらったところに、樹里の迷いが全部出ていた。
そして一億ウォンのメッセージを見た蓮が、困ったようにしながら嬉しそうに笑ったのが、もう苦しい。樹里は必死に離れようとしているのに、蓮にはそのお願いさえ、樹里から自分へ向けられたものに見えてしまうのかもしれない。ああもう、この二人、本当にどうしてこんなにすれ違うのよ……。
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37話|樹里の前に戻ってきた蓮と札束に隠された覚悟
一億ウォンを持って戻ってきた蓮に樹里の決意が揺らぐ。
いや、蓮……本当に戻ってきたのか。しかも一億ウォンをちゃんと用意して。ここまで樹里に言われたら、もう来ないんじゃないかと思っていたから、数週間も連絡がない時間そのものが苦しかった。樹里も忘れようとしていたはずなのに、悪夢のことや手袋のこと、夜景を一緒に見たことまで思い出してしまって、結局ずっと蓮を気にしていたんだよね。離れたつもりでも、心だけは全然離れていなかったんだと思う。
だから「家の前にいる」と届いた瞬間、樹里が飛び出していったのがもう……。顔に怪我をした蓮を見て、怒るわ心配するわ、薬まで塗ってあげるわで、樹里の気持ちが隠しきれなくなっていた。しかも蓮が紙袋をひっくり返して札束を出したときは、えっ、そこまで!?って声が出そうになった。冗談でとんでもないことを言って樹里を泣かせてしまう蓮には笑ってしまったけど、その直後に樹里が「どうして私をこんな大人にするの」と泣いたところは胸が痛かった。
樹里は蓮を利用したくなかった。寂しさを埋めるために縛りつけるのも、自分の傷を癒やす道具みたいにするのも嫌だった。それなのに蓮は、そんな樹里のために自分ができることを全部やって戻ってきた。しかも何週間も黙っていたのが、樹里を諦めたからじゃなかったと思うと、余計に苦しくなる。
そして最後……樹里から蓮を抱き寄せた瞬間、もう胸がいっぱいになった。離れなきゃと思っていたのに、蓮が目の前に現れたら手を伸ばしてしまう。嫌いだと言えなかった理由も、会わないと言い切れなかった理由も、全部ここにつながっていたんだろうな。
「今夜はここにいて」と樹里が選んだことが、すごく大きかった。まだ迷いはあるし、簡単に幸せになれる二人でもない。それでも今夜だけは、蓮を遠ざけることより、そばにいてほしい気持ちを選んだ樹里を、私は思いきり応援したくなった。
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38話|樹里と蓮がついに越えた一線と揺れる二人の覚悟
樹里が蓮を受け入れた夜、二人の気持ちはもう後戻りできないところまで近づいた
きゃぁぁぁぁぁ……これは胸がいっぱいになった。樹里と蓮、もうお互いに気持ちを隠す余裕なんてなくなっていたんだなと思った。これまで樹里は、蓮を遠ざけようとして何度も自分の気持ちを押さえてきたのに、目の前にいる蓮を見たら結局そばにいてほしいと思ってしまう。その気持ちが伝わってきて、苦しいのに目が離せなかった。
特に蓮が、樹里が後悔するならすぐにやめると確認したところがすごく印象に残った。勢いだけで進むんじゃなく、樹里自身の気持ちを確かめようとしていたんだよね。樹里も強がって返していたけれど、本当は自分のほうが不安だったんじゃないかな。ずっと鉄平との過去を引きずって、蓮に惹かれる自分を責めて、それでも蓮を手放せなくなっていたから。
しかも蓮まで途中で迷ってしまうのが切なかった。あれだけ樹里を求めていたのに、いざ距離が近づくと後悔させたくない気持ちが出てくる。樹里が不安そうにしてしまうのも分かるし、二人とも好きだからこそ怖くなっている感じがした。
そして樹里が、自分には覚悟があると伝えたところで胸がぎゅっとなったよ。ここまで来るまでに、樹里はずっと迷っていたから、その言葉にはかなり大きな決意が詰まっていたと思う。蓮もその気持ちを軽く受け取らず、まだ終わっていないと告げた。二人の間にあるのは、一時の寂しさだけじゃなくなっているんだろうな。
最後に樹里が何度も確かめようとするのも、なんだかすごく樹里らしかった。終わったのか、それともまだ続いているのか、自分でも分からない。その戸惑いまで含めて蓮に受け止めてもらおうとしていたように感じた。
ここまで来たら、二人の関係はもう以前には戻れないよね。樹里がずっと恐れていた「蓮を傷つけること」が現実になっていくのか、それとも蓮が樹里の心まで変えていくのか……私はもう、二人を見守るしかない気持ちになってしまった。
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39話|蓮の優しさに揺れ、樹里が鉄平の記憶を越えていく夜
鉄平の記憶を抱えた樹里が蓮に心を開く
蓮の優しさが、こんなにも苦しく刺さってくるなんて思わなかった。樹里が戸惑いながらも蓮を受け入れていく中で、ただ勢いに流されたという感じじゃなく、ずっと抱えていた寂しさや迷いまで一緒に揺さぶられていたのが本当に苦しかった。慣れているはずの樹里が、蓮を前にすると何もかも初めてみたいに感じてしまうのも、それだけ蓮という存在が今までとは違うってことなのよね。いや、これ、かなり大きい変化じゃない?
しかも蓮が何度も樹里の様子を確かめながら、無理に進もうとしなかったのが胸に残った。自分の気持ちを抑えきれないくらい好きなのに、それでも樹里の迷いをちゃんと見ようとしていた。あんなに余裕があるように見えて、実際はずっと我慢していたんだと思うと、急に蓮がすごく不器用に見えてくるから困る。強引そうなのに、樹里の一言でちゃんと止まるんだもの。
そして何より、樹里の中に鉄平の記憶が残っていたことが切なかった。ずっと一緒にいた人との記憶って、そんな簡単に消えるものじゃない。でも、その残像が薄れていくように蓮の温度が樹里の心を満たしていくのを感じて、胸がぎゅっとなったよ。鉄平を忘れたから蓮を受け入れたんじゃなくて、鉄平との時間を抱えたまま、それでも別の誰かに心が動いてしまったんだと思う。
眠った樹里の涙を蓮がそっと拭うところも、もう耐えられなかった。蓮は何を考えているんだろう。樹里を本当に幸せにしたいのか、それとも自分の気持ちを止められないだけなのか。ふたりとも傷ついた経験があるからこそ、近づくほど怖くなる感じがするのよね。それでも蓮が樹里を大切にしようとしているのが伝わってきて、私はもう、胸がいっぱいだわ。
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40話|蓮の傷を知る樹里の戸惑い
思いがけず知った蓮の過去と、隠せなくなった樹里の心配。
あはは、朝からこれは苦しいくらい幸せじゃない?樹里が目を覚ましたら蓮の腕の中で、離れようとした瞬間に腰へ腕を回されて、そのまま戻ってしまうのがもう……樹里、完全に心を持っていかれてるじゃない。自分で選んだことだからって言い聞かせているのに、蓮の体温を意識してしまうあたり、本人が思っている以上に気持ちは動いていたんだと思う。
しかも蓮が、昨夜のことをからかうように笑いながらも、樹里が仕事へ行こうとすると弱った声を出すのがずるい。そんなことされたら離れにくくなるでしょうよ!樹里も結局そばに残ってしまうし、もう二人とも距離を取る気があるのかないのか、見ているこっちまで落ち着かなくなった。
でも一番胸に残ったのは、蓮の体に残っていた傷。子供のころ病気で長く病院にいたと知って、樹里がその傷に触れるところが切なかったよ。いつも余裕があって、何を考えているのかわからない蓮にも、誰にも見せてこなかった痛みがあったんだと思うと、急に近い存在に感じてしまう。樹里が「もう怪我をして戻ってこないで」と言うのも、ただの注意じゃなくて、もう蓮を失うのが怖くなっているからなんじゃないかな。
そして朝食を作ろうとする蓮に慌てる樹里が可愛すぎる。鉄平の料理の記憶まで重なって、塩を心配したり、コンロを気にしたり、蓮を子供みたいに扱ってしまうのも笑ってしまった。そのくせ台所に立つ蓮の背中を見て、振り返った笑顔に顔を真っ赤にするって、もう何なのよ、この二人……。
鉄平との暮らしでは思い出が樹里の胸を締めつけていたのに、今は蓮との朝が新しい記憶になり始めている。樹里の生活に蓮が入り込んでくる感じが、静かなのにものすごく大きかった。もう「知りません」では済まないくらい、樹里は蓮を心配してしまっているんだろうな。いや、これはもう、本人だけがまだ認めていないだけじゃない?
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