長い結婚生活を終えた樹里は、鉄平との思い出を整理しながら、自分のこれからを考え始めます。そんな中で、蓮から向けられるまっすぐな気持ちは、樹里の心を少しずつ揺らしていくことに。年齢の違いや周囲の視線を気にするほど、素直になれない自分にも気づいてしまいます。それでも蓮は距離を置こうとせず、樹里が抱えている迷いごと受け止めようとします。忘れたかった過去と、新しく芽生えた気持ちの間で、樹里は大きな決断を迫られるのでした。
31話|酔った樹里を蓮が静かに見守る夜の約束
樹里への想いを抑えた蓮の優しさが胸に残った
いや、蓮……本当にそこで止まったのね。樹里の気持ちが大きく揺れて、自分から蓮へ近づいたのに、そのあと蓮が選んだのは自分の気持ちを押し通すことじゃなかった。もう、そこがすごく良かった。樹里をホテルまで連れて行ったから、最初はどうなるのかと思ったけれど、眠った樹里をベッドに寝かせて、靴を脱がせて、手を握って、ただ落ち着くまでそばにいる。蓮の優しさが静かすぎて、逆に胸に刺さった。
しかも蓮自身も、さっきのことを思い出して気持ちが揺れていたはずなのに、樹里が安心できることを一番に考えていた。ここ、本当に蓮の気持ちが深いと思った。好きだから近づきたい。でも好きだからこそ、樹里が自分で気持ちを整理できるまで待つ。簡単そうで、たぶん一番難しいことなんだよね。
そして樹里のほうも、ただ酔った勢いだけでは片づけられない気がした。鉄平との関係で長い間抱えていた寂しさや、自分を女として見てもらえないような苦しさの中で、蓮だけは樹里自身をちゃんと見ていた。その積み重ねがあったからこそ、気持ちが抑えきれなくなったんだろうなと思うと、胸がきゅっとなる。
一方で、ホテルの人たちが蓮の顔を見て会長そっくりだと騒いでいたのも気になった。樹里との関係だけを見ていると忘れそうになるけれど、蓮には家族や立場の問題がずっとついて回っている。兄の存在まで重なってきて、恋だけで簡単に進める話じゃないんだよね。
それでも最後に蓮が樹里の頭をそっとなでて、眠れるように声をかけたのが本当に好きだった。派手な言葉や行動より、こういう何気ない優しさのほうがずっと心に残る。樹里が安心して眠るまでそばにいた蓮……もう、こんなの好きにならないほうが無理じゃない?
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32話|樹里が13年分の思い出を手放し蓮へ向かう気持ち
蓮への連絡を考えた樹里と自分から距離を置いた蓮、その温度差が切ない。
えっ、樹里……自分から蓮にキスしたこと、ちゃんと覚えてたのね。目が覚めて顔を真っ赤にして、夢だったことにしたいのに靴も上着もきちんと揃っていて現実から逃げられない感じが、もう可愛いやら切ないやらで胸がいっぱいになった。しかも蓮は何もせず、ホテルまで連れて行って手紙まで残していた。あれだけ距離を縮めていたのに、樹里が安心できるように一歩引いていたのが本当に蓮らしい。
そして蓮は自分から連絡しないと決めていた。樹里から連絡が来るまで待つって、いやいや、そこまで好きになってるじゃない…初恋なのに、じらすのがうますぎる。譲二が蓮の本心をつかめず困っているのも分かるし、蓮自身も樹里への気持ちと、周囲に知られてはいけない事情の間で揺れているように見えて、妙に気になった。
一方で鉄平が昔の樹里とのキスを思い出していたのも苦しかった。昔は樹里の前で真っ赤になってしまうような少年だったのに、今はその思い出を胸の奥にしまったまま別の女性と過ごしている。樹里が13年分の思い出を片づけ始めたのとは正反対で、鉄平はまだ過去に何かを残しているようにも感じた。
でも、やっぱり一番ぐっと来たのは樹里だった。服を畳んで、携帯を見つめて、昔もらった物まで一つずつ手放していく。長かったんだよね、本当に。だから荷物がなくなった家を見て、引っ越したみたいに疲れ切るのも当然だと思った。それでも最後にクマのぬいぐるみを見て、蓮とご飯を食べようかなって考えた樹里に、もう胸がきゅっとなった。鉄平のために過ごしてきた時間のあとで、初めて自分が会いたい人を思い浮かべたんじゃないかな。なのに、その瞬間に蓮のスマホが震えるって何!?以心伝心みたいだね、蓮……!
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33話|樹里が新しい下着と蓮への贈り物を買う恋心の芽生え
蓮を意識し始めた樹里の買い物がもう可愛すぎた
えっ、樹里、ちゃんと自分のために新しい物を買ったんだ……! そこからもう嬉しくなってしまった。今まで自分のために新品を買うことなんてほとんどなかった樹里が、店員に勧められて真っ赤になりながら選んで、しかも蓮のためにはクマのぬいぐるみを入れる箱や包装紙まで探して、薄手だった手袋まで買っていた。いやもう、完全に蓮のことを考えて買い物してるじゃない。本人はまだ恋だなんて認めきれていないのに、行動が正直すぎる。
そして人混みの中で蓮を見つけた瞬間、周りの女性たちが振り返るのも分かるくらい目立つ蓮が、恋人がいるか聞かれて迷わず「いる」と即答したのには、私まで一瞬固まった。樹里も絶対びっくりしたよね。しかも蓮は何事もなかったみたいに樹里のところへ来るんだから、もう本当に余裕がある。樹里が食事に誘った理由を聞いて、「それだけ?」みたいに探ってくるのも、昨夜のことを忘れていないのが伝わってきてドキドキした。
食堂で鉄平と来たことがあると言ってしまった樹里も、ああ…まだ完全には切り替えられないんだなと思った。でも、そのあと蓮から昨夜のことを嬉しかったと言われた瞬間、樹里の顔が真っ赤になるのが目に浮かぶようだった。自分だけが気にしていたと思っていたのに、蓮もちゃんと覚えていた。しかも、まだ心の準備ができていないなら気持ちだけでもいいと、からかうように揺さぶってくる。いや蓮、樹里には刺激が強すぎるって!
そして紙袋を押しつけて逃げ帰った樹里が、家で袋を開けたら選んだはずの白じゃないって……まさかのオチ! もう声を上げる樹里が可愛すぎる。自分のための買い物をしただけなのに、蓮への贈り物まで用意して、最後は本人の意思とは関係なく派手な物まで手元に来るなんて、樹里の恋、ずいぶん賑やかになってきたじゃない。
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34話|樹里が離婚を明かし蓮との関係を梨花に気づかれる
樹里が自分のために選んだ服と蓮からの贈り物に胸がいっぱいになる
もう、樹里の頭の中が大変なことになってるじゃない…! 赤い袋を蓮に開けないでと必死にお願いした夜、まさか自分がその袋の中身を身につけて蓮と過ごす夢を見るなんて、いやいや、樹里! と笑ってしまった。でも笑って終われないのが、樹里自身も蓮をかなり意識している証拠なんだよね。自分ではまだ戸惑っているのに、夢には気持ちがそのまま出ちゃっていた。
しかも朝になったら蓮がちゃんと袋を返しに来て、樹里が本当に渡したかった物を受け取る。その代わりに蓮が用意していたのが、厚手のタートルネックのセーターって…! 樹里が寒がることを知っていて選んだんだろうなと思うと、もう優しすぎて困る。樹里が目を輝かせるのも当然だし、蓮自身も眠れなかったらしく緊張していたのがまた可愛かった。強気に見えるのに、樹里から何かをもらうときはちゃんと嬉しくて落ち着かないんだな。
そして花屋で樹里が「離婚した」とはっきり口にしたところ、私はちょっと胸が熱くなった。今まで鉄平とのことをずっと抱えてきた樹里が、もう夫がいる前提で話されることを否定して、自分の今を言葉にしたんだよね。これ、かなり大きいと思う。
そこへ蓮が来て、花束を受け取るだけならまだしも、もう一束頼んで、自然に樹里へ触れる。いや、梨花から見たらそりゃ怪しいって! しかも二人の距離が近いから、ただのお客さんと店員には見えない。樹里本人は必死に仕事の顔をしていても、周りから見ると隠しきれていないんだろうな。
樹里は鉄平との生活を終わらせるために荷物を手放して、今は蓮からもらったセーターを嬉しそうに抱えている。この変化が本当に切ないし、嬉しい。だけど蓮も気になるし、梨花まで二人の関係に気づき始めたとなると……いや、樹里、大丈夫!? こっちまで落ち着かないんだけど!
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35話|樹里は蓮を遠ざけようとするが、蓮は本気の気持ちを貫いた
樹里は離れるつもりなのに蓮は引かない、二人の気持ちがついに正面からぶつかった
えっ、樹里…そこで終わらせようとするのか。もう胸がぎゅっとなった。蓮が自分に本気かもしれないと分かってしまったからこそ、樹里は自分から離れようとしたんだよね。しかも自分だけじゃなく、蓮のこれからまで考えて、同年代の女性と付き合ったほうがいい、両親は知っているのかって必死に言うのが切なかった。自分が傷つくのも怖いのに、蓮を傷つける側になることまで怖がっていたんだと思う。
でも蓮は、もう全部知っていた。樹里に夫がいたことも、その関係が終わっていたことも、それを知ったうえで自分から離れなかったことも。しかも、自分の気持ちがきれいなものだけじゃないと分かっていて、それでも樹里を求めていた。ここが本当に蓮らしくて、ぞくっとした。優しいだけの男じゃないんだよね。自分の中にある危うさまで分かったうえで、樹里の前に立っている感じがした。
そして梨花も、ただ邪魔をしたかったわけじゃなかった。樹里が傷つくことも、蓮が傷つくことも心配していたんだろうなと思う。だからこそ、蓮がすでに事情を知っていると聞いたときの空気が重かった。蓮のほうがずっと先まで分かっていたんだ……って。
一方で、蓮が樹里からもらった手袋を大事そうに見つめ、刺繍されたクマを抱えていたのには弱かった。あんなに余裕のある顔をしているのに、樹里からもらったものを抱えている姿は、普通に好きな人を待っている男の子に見えてしまう。樹里もそこに気づいてしまったから、余計に離れられなくなったんじゃないかな。
それなのに最後、樹里が別れを告げようとした瞬間、蓮は真っ直ぐ気持ちをぶつけてきた。樹里が自分をまともだと思っているのか確かめるような言葉も、なんだか蓮の覚悟に見えてしまって……もう苦しい。樹里、こんなの泣いちゃうよ。私まで息を止めてしまったわ。
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